ぱぷでみー賞

日本一役に立たない映画感想とか趣味の話し。

奇跡の海/トリアー監督だよ、奇跡なんて起きないよ


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いつもお読み頂きありがとうございます。
今日はラース・フォン・トリアー監督の『奇跡の海』です。
15年くらい前から観たかったのですが機会に恵まれず、ついにAmazon primeでレンタルした。
サイコー

 

 


まずは概要

 

原題:Breaking the Waves
上映時間:158分
監督:ラース・フォン・トリアー
脚本: ラース・フォン・トリアー
出演者:エミリー・ワトソン/ステラン・スカルスガルド/カトリン・カートリッジ
公開:1996年年
製作国:デンマーク、 スウェーデン、フランス、オランダ、 ノルウェー、アイスランド、スペイン、イギリス

 

奇跡の海

奇跡の海

  • エミリー・ワトソン
Amazon

 

 

あらすじ

 

WikipediaとかAmazonとかの大人が書いた紹介によると、とにかく純粋で、無垢だとか、天真爛漫らしい信仰心のつよい女性のベス。
どちらかというとちょっと障害があるんじゃないかなと思う。
言葉の真意も読み取れてないし、善悪の判断が曖昧だし、感情で動きすぎてるメンヘラちゃん。
そんなとにかく明るいベス村さんは、おそらくそんなに長くお付き合いしていない村の外からきた、とにかく胡散臭いヤン村さんと村の長老どもの反対を押し切って結婚。

 

田舎の寒村なので長老と教会の権力は絶大だし、めちゃくちゃ排他的で保守的な雰囲気は開始10分しないで溢れ出ている。

 

新婚ラブラブ挙式や初夜を足早に、でもしっかりと何故かモザイクなしでみせられて何とも言えない気分になっていると、ヤン氏は沖合の石油掘削施設で働いているので戻らねばとなる。
離れ離れになることは分かっていた事なのに泣き喚き、駄々をこねるメンヘラ爆発ベスさん。
飛ぼうとしてる飛行機?のドア開けちゃいかん。

 

「神様早く愛しのヤンを私の元に返してくれや」ってお祈りしていたら、あら不思議!!本当に予定より早く帰ってきました。大けがをして…
とにかく胡散臭いと思っていたヤン氏ですが、首から下が動かなくなってしまった自分の人生に付き合わせるのは申し訳ないけど、(田舎だから??信仰があついから??)離婚もできないから、愛人つくって俺以外と幸せになってくれって言う、案外良心的な人だった。

 

でもプロのメンヘラちゃんが聞き入れる訳もないので、ヤンさんは「俺の為に他の男と愛し合ってきてくれ、その話しを聞かせてくれ」って言うんですよ。
多分「その先そいつと幸せになって、俺のことなんて忘れていいぞ」って意味なのに
「私が神様に早く返してなんて言ったからだ!!」ってマジで思っているので、言葉そのままに捉えて手当たり次第の男を誘ってみたりする。

 

そんな事をすれば信仰心のつよい、ド田舎でどうなるかは火を見るよりも明らかなのに…
って辺りでストーリーは半分を過ぎたかな??って感じです

 

ネタバレ無し感想

 

公開当時は未だトリアー監督もメジャーじゃなかったからか愛の軌跡を描いたラブストーリーみたいに紹介されていたり、それっぽい感想の人もたまにいるみたいですが、トリアー監督がどんな人間か分かった今、どう考えてもただの胸糞映画ですね。

 

家族にストーリーを説明したら「この世は地獄なの??笑」って言われました。

 

ベスは教会で神様と話す時、一人二役で声色まで変えて神様役をやっているのですが、その自分の声をガチで神様的に捉えてるんですよね。
「マグダラのマリアも主に愛されただろ」とか都合のいいこと言って。怖すぎる

 

どう考えても普通じゃないと思うのですが、時代が時代なのでちょっと変わった子で片付けられてしまったのでしょうか…精神病棟に入れられていた的な話はちらっと出てきてましたが…。

 

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のセルマとどっちがより救いがないか論があるようですが、個人的にはベスのが悲惨かなーと思いました。
"子供の為にお金を貯める"と、"主人の為に他の男と寝る"では周りからの理解度に差がありすぎるし、村の子供に石投げられるって…地獄かよ。

 

セルマと言えば何となく思ったのですが、ベスが誰が父親かも分からない子を身籠って、村から出て行かなきゃいけなくなった、分岐したIFの人生がセルマなのではないかと思い始めました。
だからなんだって言われても困るのですが。笑

 

 

 

ネタバレ有り感想

 

ネタバレ大嫌い勢の私ですが実は今回、あらすじを全部読んでしまってから鑑賞をしました。
全部知ってて観ても面白いのは流石トリアー監督。
むしろ「どんな話だよ!?」ってネタバレ見てからの方が気になってしまいました笑

 

ちなみに手当たり次第の男を誘ってみたりした続きは、一進一退を繰り返すヤンの体調がタイミングよく男と寝ると良くなるので、どんどん神の力が働いている…!!って信じたベスは、いよいよ娼婦みたいな恰好で娼婦たちと同じように他所からの船乗りを相手にしだします。

 

すると協会からも追放されて、村の子供たちからもガチで物理的に石を投げられ、最終的に娼婦も寄り付かないヤバい船に乗り込んで暴行されて、死亡…。
村に埋葬はしてやるけど、葬儀はしてやらないという強化の長老どもに、埋葬の際に「地獄に堕ちる」とか言われる始末。
ただヤンは"奇跡的"に自力で歩けるまで回復したので、埋葬前にベスの遺体を盗んで水葬したら、天国に迎え入れられたのか、ベスの起こした奇跡なのかめちゃくちゃちゃっちいインチキ臭いCGの鐘が鳴り響いて、なんとなくいい話みたいな雰囲気で終わります。

 

なんだかなー笑

 

ここまで一切触れてなかったけど義理のお姉ちゃんがこの映画の良心で、美人だしめっちゃ良かったです。
村で看護師さんをしていて、ご主人(ベスの兄)はもう他界しているのにベスが心配で家に残っているという神様の様なキャラ。
神様みたいな人がすぐ近くにいるんだから、もっと彼女のいう事に耳を傾けろよ!!!!

 

メンヘラちゃんだし、おそらく障害もあるからか否定されるのがだめなんだろうな。
ヤンは何でも否定しないで受け入れてくれたのかもしれないけど、それって愛か!?
ヤンとの出会いや馴れ初めが全く描かれていないので、観客としてはヤンに感情移入0だし、感情移入0の中モザイクなしですっぽんぽんを披露してくれるしで、ラストまで観てもやっぱり胡散臭いんだよなー

 

あの鐘とかむしろベス、ヤン、観客の事を小バカにしているようにすら感じてきた…笑

 

トリアー監督は観客を精神的に殺すのが好きらしいですが、私はまだトリアー監督で死んだことないよ!!笑
もっとえぐいの作って欲しいです。
個人的にはトリアー監督の中では『アンチクライスト』が今のところ一番好きです。

 

今年はトリアー監督BOXが公開順で発売してますね。
思わず欝三部作のBOXだけ予約してしまいました。

 

 

ぱぷぽ