いつもお読み頂きありがとうございます。
今日は『市子』杉咲花さんがとにかく凄い。
パッと見は『誰も知らない』の様な話かと思いきや全然違う!!
まずは概要
原題:市子
上映時間:126分
監督: 戸田彬弘
脚本:上村奈帆/戸田彬弘
出演者:杉咲花/若葉竜也
公開:2023年
製作国:日本
珍しく邦画続きですがめちゃくちゃおもしろくてびっくりです。
あらすじ
彼と同棲中の市子。
つつましいというか、質素な暮らしをしているのは一目瞭然ですが幸せそうです。
食事中に彼が突然プロポーズします。
思わず涙を流して喜ぶ市子。幸せそうだな~なんて見てると…
翌日、彼が帰宅すると市子が失踪!!
荷造りの痕跡があり誘拐ではなく失踪!!逃亡!!なぜ!?ワイ!?
というところから彼が市子を探すため、ゆかりのある人に話を聞いて周り
市子という人間の半生を紐解いていく…って感じです。
ぶっちゃけどこまでがネタバレにならないのか良く分からないです…。
刑事さんのあのセリフまでは書いても良い気がしますが判断つかないので本当に導入部分だけになりました…。
てか書いてて思いましたがプロポーズするなら食事後にしてくれればいいのに。
ネタバレ無し感想
Twitterで町山さんが日本アカデミー賞の主演女優賞が杉咲花さんにならないとおかしい。くらいの事を公開当時呟いていたので知った映画。
アメリカにいるのに最新の邦画にも詳しいのなんで??
インパクトのあるポスターに、内容が全く分からない潔いタイトルで、なんとなく記憶の片隅に残っていたところAmazon primeでやるよと聞き付け鑑賞。
2時間をちょっと超える長さの映画でしたが、それぞれの人が市子を語る『羅生門』の形式でテンポよく進むのもあり、あっという間に観終わってしまった印象です。
何より導入部分が「なんで!?」と思わず掴まれてしまうので気になって気になって、途中でやめれません。笑
その冒頭が上のあらすじでも書いたように、
同棲中の彼と幸せそうに食卓を囲んでいた市子に突然プロポーズする彼。
思わず涙を流して喜ぶ市子。
ところが翌日、彼が帰宅すると市子が失踪していて…とかなり気になる出だしです。
幸せだったはずの彼女に何が??から始まり、市子って人間の凄まじい生い立ちを徐々に謎解きしていく感じが兎に角面白いです。
時系列が入れ替わっているので、ぼーっとみてるとちょっと分かんなくて置いてけぼりになるかもしれませんが、時系列云々の前にそもそも複雑な部分があるので、ちゃんと観ないと「え??誰??」ってなりそうです。
『誰も知らない』といい、制度から外れてしまった人が、普通に生きる方法って日本にないのか??って悲しくなる。
ネタバレ有り感想
直前に「悲しくなる」とか書いたけど、映画は全然悲しい感じじゃないです。
まぁ、感情移入すると切ない気持ちにはなりますが、市子は割とスンって犯罪を犯すのでラスト含めて結構何とも言えない感情になります。
劇中判明しているだけで3人殺してますもんね??
しかも一人は明らかに市子に好意を持った男性だったので、むしろ彼に感情移入したほうが悲しくなります。笑
でもなんか違うんですよねー。
彼は彼で自己肯定のために市子を利用している感じがあって素直に可哀想に…って言えないなって感想です。
市子には戸籍がなくて、しかも寝たきりの難病の妹がいたため、妹の戸籍で生きていた時期もあって…とかなり複雑な人生です。
戸籍ないから結婚できないんですよね。
それが冒頭の涙のワケと、逃亡のワケだと考えるとめちゃくちゃ切ないですが、あの優しい彼だからちゃんと話したら分かってくれたんじゃないの??なにも逃げなくても。
って考えたのですが殺人は時効がないですもんね。
市子でいる限り妹の殺人でいつ捕まってもおかしくないのか…
この『市子』はかの有名な黒澤明監督の『羅生門』の形式をとっているという事で、映画好きなら誰でも「証言者の中に嘘つきがいる」と思うはずだ。と考察されている方がいて「なるほどー」とは思ったのですが、なんとなく私の中では腑に落ちなかったです。
確かにそれぞれの市子像には何となく違和感がある事も無くはないのですが…
明らかに市子のキャラとは違う、やんちゃグループの彼氏が主ですが。
う~ん
ラストの(他人の)戸籍を手に入れた市子のその後の人生はどうなるんでしょうね??
真っ黒のワンピースを着ていた市子は誰にも、何者にも染まらずに"他人として"生きていくのでしょうか…??