せっかく辿り着いて頂いた中、タイトルでいきなり 見るな 的に書いて申し訳ないです。笑
先にネタバレ観たらめちゃくちゃ勿体ない系の映画です。
今日はそんなアンテベラムです。
これはマジで面白かった!! 個人的には近年の差別を扱ったスリラーで一番驚きました!!
小物の使い方がマジで最高!!
Filmarksにネタバレなしで感想を書くのが難しすぎてコッチが先になりました。
ネタバレありにチェック入れればいいだけの話ですが、全文消えてしまうじゃないですか。
とにかく色んな人に見て欲しいのに、ネタバレするとすべて見えなくなるので…
まずは概要
原題:Antebellum
上映時間: 106分
監督:ジェラルド・ブッシュ/クリストファー・レンツ
脚本:ジェラルド・ブッシュ/クリストファー・レンツ
出演者:ジャネール・モネイ/ジェナ・マローン/ジャック・ヒューストン
公開:2020年
製作国:アメリカ
次項でネタバレなしであらすじを書こうと思っているのですが、マジで何も情報入れないで観る方が100倍面白いと思います。
私は制作陣だけで観たいリストに入れていたので、マジで“黒人物のスリラー”くらいしか知らないで観たのでめちゃくちゃ面白かったです!!
ここまで読んで「とりあえず観てみるか…」となってくれるのが一番です。
どうしても「なにか分からない物に時間使いたくない」とか「あらすじ知ってからじゃないと楽しめないんだ」みたいな人だけあらすじを見ればいいと思います。
予告編もネタバレぶっこんできてるとの事で観ない方がいいかと思います。
あらすじ
南北戦争中のアメリカ、ルイジアナ州の白人屋敷、綿花農場…とくれば当の然で黒人奴隷がいるわけです。迫害されまくり。
最初のシークエンスから騒然とした脱走劇と、容赦ない迫害シーン。
『ゲットアウト』、『アス』の制作陣が作った映画とのことである程度は想定しておりましたが、今回は捻りなくめちゃくちゃストレートにアメリカの黒人問題を描いてきた!!
…と思ったら現代に場面が転換します。
女優さんは同じジャネール・モネイさんですが名前も、境遇も前半の黒人奴隷時代とは当然異なっており、黒人や女性の人権問題に立ち向かう学者さんで本も出版しており、これから演説会を控えたバリキャリ。
そんな人権問題の学者さんですら南部に行けばホテルでは目の前で電話に出られ後回し、レストランでは端っこの狭い席を案内され、挙句安いワインを進められるという雑な扱いを受け、観ているこっちも嫌な気持ちになる。
そんないや~な不穏な空気にぞわぞわしていると、案の定事件に巻き込まれるヴェロニカ。
ヴェロニカの運命は!?過去との因果は!?みたいな感じです。
ネタバレ無し感想
なんだかアホみたいにポップな感じであらすじを書いてしまいましたが、そんなポップな作品じゃないです。笑
迫害シーンは『ジャンゴ』ほど強烈ではないですが、しっかりと描かれてますので楽しいお話ではないです。
でも映画としてはかなり良くできていて面白いと思います。
アメリカ、南部、黒人でどんな映画か想像がつかないとびっくりしてしまうかも…。
はやくネタバレしながら感想書きたいのでネタバレなし感想短くて申し訳ないです。
これだけです笑
ネタバレ有り感想
やっと思う存分感想をかける!!めちゃくちゃネタバレします!!笑
本作最大のオチは1860年代のアメリカだと思っていたエデンパートが、実は現代アメリカのヴェロニカパートの続き(隔離された土地)でした!!っていうどんでん返しかと思うのですが、このプロット自体は目新しさはなく、文字にしてしまうとあっ気ないのですが、ネタばらしまでの過程が素晴らしいです!!綺麗にどんでん返ししてくれます。
綺麗に騙されて、綺麗に種明かしされると、清々しくて感激してしまう。
スマホの着信で目覚めるという2つのシーンがこんなにきれいにリンクして、しかも度肝を抜かしてくるなんて中々ないのではないかと思います。
特に2回目!! マジでめちゃくちゃ上手くスマホを出してきます。
1860年代の南北戦争時代のアメリカでスマホの着信!?
鞍にぶら下がったカバン?から出てくるスマホの似合わないこと…。
あまりのことに理解が追い付かず、普段あんなに見慣れてるスマホなのに、「はっきり見えなかったし、あれは私の見間違いでスマホじゃなかったのでは…」なんて思って無理やり辻褄を合わせようとしてて可笑しくなってしまいました。笑
これは本当に映画ならではで最高のシーンだと思いました。
私が考え及ばないだけかもしれませんが文字で「プルルルル プルルルル その時、南北戦争時代のアメリカには似つかわしくない音が周囲に響き渡り エデンは目覚めた」ではやっぱりあのインパクトは出せないのではないかと思う。
急な電子音に、周囲には松明の自然な明かりしかない中、異様に明るいスマホ画面…全部が異様でさっぱり理解が出来ていない中、勝手に進むストーリー。
また、小説や漫画と違って作者側のテンポで強制的に進んでしまうのも映画ならでは。こちらに考える時間を与えないでポンポン進んでいってしまうのも良い。
頭の回転が良かったり、勘がいい人は「現代!?エデン=ヴェロニカ!?」ってなるのかもですが。
私は脳足りんなので「????????????????」と何が起きたのかポカーンでした。
まさに最高の気分でした!! 映画って本当にいいものですね~
そこからは怒涛の答え合わせ、脱出劇ですが
言われてみれば…やたらエデンがみんなに頼られていたのは有名人だったからか!!という感じで納得出来るものが多いです。
さらにあの"勝手に喋るな"ルールのおかげで大事な情報がぽろっと出てこなくでも不自然じゃないし、「みんなが頼っているのはここが長いからかな…」とか勝手に妄想し始めて制作陣の思うつぼでした。笑
黒人女性がアメリカ連合国の制服で、南軍旗の中を馬に乗って駆けていくラストの脱出劇は、やはり日本人には分からないカタルシスがあるのでしょうか??
我々もスカッとはしますが、もっと捉え方がちがいそうです。
ところで最重要アイテムは言わずもがな"スマホ"なのですが、口紅もちょっとしたキーアイテムとして登場するのですが、この口紅がなんとパットさんことパットマクグラスの口紅なんです!!
あのパッケージに唇マークの付いた特徴的なリップはコスメ好きなら「おぉ!!」ってなります。そしてパットさんはエリザベス女王より大英帝国勲章を受勲した黒人メイクアップアーティストでなので、まさに成功した女性の象徴のようなアイテム。
それを盗むのがエリザベス…めちゃくちゃ意味深ですね。
あと冒頭に引用されているフォークナーですが、彼もミシシッピ生まれの南部アメリカの因習的な世界を多く書いた有名なアメリカの作家さんですね。
フォークナーに関しては『アブサロム、アブサロム!』を少し前に購入しましたが、まだ読んでないので知識ゼロでなので完全に蛇足です。ググったほうがいいですね。笑
ぱぷぽ